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上の写真では7MHz用のエレメントに平行
な短いエレメント"PSE"はよく見えない

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2023/12/30
Multiband Dipole Antenna with Parallel Short Elements (PSE)
7/14/18/21/24/28/50MHzマルチバンドのPSEダイポールアンテナ

【概 要】

PSE Dipole Antenna (Pseudo-Square Element Dipole Antenna with Parallel Short Elements) ほぼ完成!
2023/11/22の記事の疑似方形ダイポールに50MHz帯を追加したアンテナでは7/21/50MHz帯で運用(IC-7400使用)が可能であったが、さらにマルチバンド化し、 7/14/18/21/24/28/50MHz帯での運用ができるようになった。
7MHzダイポールのエレメントに平行に短いエレメント(Parallel Short Element=PSE)を追加することにより実現した。 エレメントには一般的にACコードとして使われている0.75sqビニル平行コード(Universal vinyl sheathed power cord)を使用した。
以下は15m長の同軸ケーブル5D-FBを接続してのNanoVNAによる測定結果であるので、給電用の同軸ケーブルを含めてアンテナということになる。 本来は周波数帯ごとに半波長の整数倍の同軸ケーブルを接続して、アンテナ自体の給電点インピーダンスを測定すべきであろうがそこまでは行っていない。

【詳 細】      
A 写真Aはとりあえず14MHzを狙いPSEとして1/2の長さにしてトップを13mの正規の高さにあげた場合のSWRの特性である。 11MHz付近にSWRのディップが現れたので、これを14MHzに持って行けば14MHzで使用できるかもしれないと考えた。
B 写真Bはセンターマストを地上高5.4mに下げ、両端のエレメントを張っているロープを緩めてアンテナ全体を垂れ下がらせた状態におけるSWRのカーブである。SWRのディップは12MHz付近になっている。
C 写真Cは上記の高さで調整を行い、最終的に初めの長さから両エレメントを100cm短縮した時の SWRのカーブである。
D 写真Dは左の概略図に示すようにセンターマストを地上高13mに上げ、両端のエレメントを張っているロープを張った正規の状態におけるSWRのカーブである。
PSE長を調整終了後、7MHz以上のHF帯の各バンドについて、通常使用しているIC-7400につないでチューニングをとってみたところ、7/14/18/21/24/28MHz帯においてIC-7400でSWRは十分に下がり送信可能となった。実際にFT8にて各バンドで多数の交信ができている。
外観上ほとんど変更が見られないPSEを追加しただけで、14/18/24/28MHz帯の利用が可能になったのは大きな成果である。

【補 足】

7MHzダイポールアンテナでは3倍の21MHzで高調波アンテナとして動作する。 しかしNanoVNAでSWRのディップを見ると21MHzよりも若干高いところで共振している。それでもトランシーバのオートチューン機能で何とか使用できていることのようだ。
7MHz疑似方形ダイポールに近い形で7MHz逆Vアンテナを上げた某局では21MHz帯でのチューニングが取れなかったというケースもある。その場合でも21MHz用のPSEを追加すれば使えるようになる可能性がある。
本記事のようにしても異なる立地や利用環境ではうまく行かない場合もあるかもしれないが、各局の参考になれば幸いである。